遊休地(ゆうきゅうち)とは、利用されていない土地のことです。遊休地の代表的な例として、かつては田んぼや畑として農作物を耕作していて、現在は耕作していない土地になります。また、親から田畑を相続したけれど、遠方に住んでいたり、別の仕事があることで、親から引き継いだ土地で耕作が続けられなくなることで遊休地化することもあるでしょう。
将来、耕作を再開する予定があったり、別の使用目的がある場合は、土地をそのままにしておいても良いでしょう。
使用する目的がはっきりしていない場合は、売却や賃貸を考えた方が良いでしょう。
なぜなら、そのままにしておいて月日が経つと、次のような問題が発生し、土地の評価はどんどん低下していき、維持管理費用だけが掛かってくることになるからです。
空地は放っておくと、草が生え木になり、やがて森になります。
例えば、草木が生えていない土地と森になっている土地が同じ金額で売り出されている場合、森をそのまま利用する施設を建てたいオーナーではない限り、草木が生えていない土地が選ばれます。
草木が生えないように日々管理をすれば良いのですが、使用目的がはっきりしていない土地をきれいに管理し続けることは難しいことでしょう。
また、道路や住宅に隣接している場合、草木が大きくなると、市町村や近隣からの苦情(境界を越える苦情や害虫発生の苦情)により、草木の伐採を強いられることもありますので、管理の手間や費用は、月日と共に増えていくと考えられます。
不法投棄は犯罪ですが、捨てられたゴミの処分は、土地の所有者が行うのが原則です。
エアコン、テレビ、冷蔵庫、洗濯機などの電化製品が捨てられてしまうと、運搬や処分に多額の費用が掛かってしまいます。
不法投棄する人は、基本的に人通りが少なく、管理されていない土地に捨てる傾向があるようです。
ゴミを捨てにくくする対策(フェンス設置や防犯カメラ設置)や土地をきれいに管理していないことは、犯罪を助長する原因になりますので、手間や費用を掛けて管理し続ける必要があります。
相続が発生した場合、土地の分与をどうするかが問題になる場合があります。
相続人は通常複数人おり、分筆して複数人で分けるか、共有持分を皆で持つか、ひとりの相続人が土地を引き継ぎ、土地の価値に基づき金銭で分与するかなど、対応方法は様々です。
ただし、分筆する場合は分筆費用が掛かりますし、共有持分にするとその後の売買や賃貸に手間や費用が掛かりますし、ひとりで引き継いだ時も金銭を捻出する必要があります。
遊休地をそのままにしておくと、相続人がどんどん増えて土地の価値が低下する原因になりますので、売買・賃貸できるタイミングで対応しておくことをお勧めします。
土地は、所有しているだけで固定資産税や都市計画税などの税金を負担する義務を負います。また、無断で建物が立てられても時効が成立すると土地の所有権が奪われたりすることがあります。
土地の状態は随時確認し、必要に応じてフェンスの設置や看板を設置することで、土地を守る対策をしておく必要があります。
遊休地の活用方法は様々です。
アパートを立てたり駐車場にしたり、事業者に賃貸したりと、有効に活用する方法はたくさんあります。
その中でもアパートやマンションを建てての家賃収入は、収入額も多く魅力的ですが、将来にわたり収入を維持するには、リフォームや建て替えを行うこととなり、収入より出費が上回るという結果になることもあります。
交通のアクセスが良く、人通りの多い繁華街の近辺であれば賃貸で利益を得られる可能性は上がりますが、元々が農地だったりして利便性よりも自然環境寄りの土地の場合は、利益よりも損益が上回る可能性を考慮しての活用方法を検討いただいた方が良いと思います。
土地を売却することで、損益とは無縁になり、次の世代へ負の遺産を引き継ぐことを防ぐのも子孫のためにできることだと思います。